2008/10/09 02:04
1964年、アイルランド、ダブリン。
マグダレン修道院に、時を同じくして3人の少女が収容される。
孤児バーナデットはその美しさで周囲の少年たちの目を惹きつけてしまうことが、マーガレットは従兄弟にレイプされたことが、そしてローズは未婚のまま赤ん坊を産んだことがそれぞれ“罪”とされたのだった。
彼女たちは、修道院を管理する修道女たちに性悪女と決めつけられ、祈りと労働によって神に奉仕し“罪”を悔い改めるよう言われるのだった。
しかしそこで彼女たちを待っていたのは、過酷な労働と自由の一切ない刑務所以上に非人間的な環境だった。
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熱心なカトリック教徒の多いアイルランドにおいて当時の教会や聖職者の権力は絶大的だった。
彼らにとっては見た目が美しい女性や未婚のまま子を産んだ女性、レイプされた被害者の女性すらも‘ふしだら’であり、血の繋がった親兄弟ですら彼女らを‘恥’と見做し、厄介払いとばかりに‘修道院’へと送られてしまう。
そこには聖なる神に身も心も捧げ、寛大な慈愛を持って祈りを捧げるシスターなど一人もいなかった。
戒律が厳しく、絶対的な権力を握る修道女たちが管理するそこにあるのは外界から断絶され、彼女たちを‘罪人’とし、自由も希望も奪い、宗教の名の下で行われるあまりにも不条理な人権蹂躙だった。
聖なる神の名を冠するはずの場所なのに、あれはまさに神に見捨てられた場所であり地獄と言っても過言ではない。
怖いのはこれが実話と言うことであり、最も恐ろしいことにはこの修道院が1996年まで在ったことである。
ほんの少し前までこのような理不尽極まる修道院があり、そこには虐待され続けた無辜の女性たちがいたのだ。
'96にこの修道院は閉鎖され、多くの罪なき女性の嘆きを隠し続けた闇に終止符が打たれた。
でももしかしたら国や信仰は違う場所で、私たちが知らないだけで、今なおこんな理不尽な闇がひっそりと息衝いているかもしれないと考えると恐ろしくてならない。
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